錦織とマイケル・チャン
NHKで「錦織圭 頂点への戦い」という番組が放送されました。番組はマイケル・チャンに出会ったことで、トップ選手への道を開いた錦織のテニススタイルの進化が語られました。そして、成長著しい錦織に対して、ジョコビッチ、マレーらトップ選手が研究をして対策が練られていく中で、錦織やマイケル・チャンがさらに成長を目指すといった内容になっていました。
このページでは、錦織がいかにトップ選手になり得たかについて、記事を書いています。
チャンが示したトップ選手への道
トップ10を前に、壁に突き当たる錦織
17歳でプロデビューした錦織圭は、持ち前のストローク力を生かし、着実にステップアップを遂げていきます。2012年には、日本人初の20位台にランクを更新しました。
しかし、そこから2年間、トップ10の壁を破れずにもがき続けます。時にはモチベーションが下がり、勝利の意欲を失って、格下の選手に負けることもありました。パワー不足に加え、錦織には変化が必要だったのです。
その時に出会ったのがマイケル・チャンでした。
マイケル・チャンとの出会い
マイケル・チャンは史上最年少の17歳でグランドスラム・全仏OPを制した伝説的なプレイヤーです。特に決勝で見せた、アンダーサーブは語り草となりました。
175cmと小柄ながら、世界ランキングは最高で2位にまで上り詰めました。マイケル・チャンは俊敏さを生かし、ベースラインからのストロークを得意としていました。そして、錦織にかつての自分の姿を重ねあわせた部分もあるのかもしれません。とにかく、マイケル・チャンは進んで錦織のコーチとなり、技術面と共に、精神面で大きな成長をもたらしたのです。
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チャンが授けた攻撃的なテニス
IMG_9186 / angelicalbite
錦織の小柄ながら、抜群の俊敏性に目を付けたチャンは、前に出る攻撃的なテニスを授けます。
錦織は通常より1mから2m、前に出てベースライン付近でテニスをすることで、素早いストロークを返すことができるようになりました。これにより、相手は次の準備の時間が短くなり、プレッシャーがかかります。
また、前で打つことで、左右に振られる距離が短くなり、体力の消耗を防ぐことができるのです。 この前に出るテニスにより、錦織のストローク力はさらに磨きがかかり、快進撃につながっていきます。ついには、トップ10の壁を破り、2014年の全米OPでは準優勝をはたしたのです。
この時は、6位のラオニッチ、4位のワウリンカ、1位のジョコビッチを破っての準優勝でした。ジョコビッチに対しては、22本のウィナーを奪っての勝利でした(ジョコビッチは9本)。
まさに、錦織がトップの壁を破った瞬間であり、トップ選手の仲間入りをはたした瞬間だったのです。この時から、ジョコビッチを始め、いわゆるBIG4なども錦織をライバルと認めることになります。世界は錦織のストローク力が、最高レベルにあることを認識したのです。
全米OPで敗れたジョコビッチは錦織を称賛しながらも、トップ選手としての言葉を授けます。
「錦織の活躍は見事だ。しかし、トップで戦うのは別次元だ。彼はその別次元の戦いに、今足を一歩、踏み入れたのだ」