高校1年生でリオ五輪に出場して、見事に団体戦・銅メダル獲得に貢献した伊藤美誠。2020年の東京五輪は、日本代表の1番手として、女子シングルス、団体戦、混合ダブルスと3種目にエントリーが決まりました。メダル3つ獲得という偉業を目指す伊藤美誠の選手名鑑、エピソード、対戦成績などを掲載します。
伊藤 美誠(いとう みま)
静岡県磐田市出身
2000年10月21日生まれ(19歳)
出身:昇陽高校/豊田町卓球スポーツ少年団
所属:スターツコーポレーション
右シェークフォア裏ソフト・バック表ソフト前陣速攻型
現在のランキング:世界2位(2020/9、過去最高)
実績:世界選手権では銀3銅1。リオ五輪団体・銅メダル。全日本は2年連続で3冠達成。ワールドツアーファイナルではダブルスで金2など、ダブルス巧者でもある。パートナーは平野美宇だったが、近年は早田ひなと組むことが多い。
ラケット/道具
ラケット:アコースティックカーボン
ラバー/表:ファスターク G-1
ラバー/裏:モリストSP
シューズ:ウエーブメダルSP3
プレースタイル
現在では数少ないバック表ソフトの異質攻撃型の選手。前陣でのバック表ソフト強打、コンパクトなフォアスマッシュは抜群の威力を発揮する。そのため、日本国内では屈指のハードヒッターという評価がある。カットマンにも非常に強い。
サーブは世界的にも屈指の使い手の1人で、非常に多種多様で大きな武器だ。独特の構えからのサーブも多く持ち、スコーピオンテイル、フリスビーなど異名がつけられる。
仕掛け、ピッチが非常に早く、アグレッシブなプレースタイルで、多様な攻撃が魅力の選手。みまパンチと言われる独特のテークバックのフォア・スマッシュは強力。
チキータ、逆チキータ、カットブロックなど、多彩なレシーブができる。面使いが巧み。
ラリー戦では不安定さもあったが、改善している。また、ナックルショートを巧みに使うなど、攻撃の多彩さも目を見張る。
若くして多くの経験を積み、メンタルも大きく向上。勝負強さ・実績では日本人では頭一つ抜きにでている。
対中国選手にも日本人では最も強さを発揮し、勝てる選手である。
リーチが短いので、ロングラリーで左右に振られると苦戦することがある。
クレバーでコーチの影響もあり、高い戦術理解度を持つ選手。一方で柔軟さ・独創的な発想を併せ持ち、臨機応変でトリッキーなプレースタイルで、相手が研究しきれいないのは大きな強みだ。
かつてのコーチは「伊藤は天才肌、平野は努力家」と評している。
ワールドツアー戦績
2020:23勝6敗(13勝3敗)
2019:82勝28敗(41勝15敗)
2018:68勝22敗(34勝11敗)
2017:57勝18敗(29勝11敗)
※トータル勝敗(シングルス勝敗)
対戦成績(日本対決)
石川佳純:6勝6敗 | 平野美宇:8勝4敗 |
佐藤瞳:15勝1敗 | 加藤美優:6勝1敗 |
早田ひな:6勝3敗 | 橋本帆乃香:9勝0敗 |
木原美悠:1勝0敗 | 長崎美柚:2勝0敗 |
対戦成績(対海外選手)
陳夢:2勝6敗 | 孫穎莎:5勝10敗 |
劉詩文:2勝12敗 | 王曼昱:5勝13敗 |
丁寧:4勝15敗 | 朱雨玲:3勝7敗 |
鄭怡静:12勝4敗 | 馮天薇:7勝2敗 |
王芸迪:2勝4敗 | 陳幸同:3勝9敗 |
ポルカノバ:7勝1敗 | 杜凱栞:7勝7敗 |
田志希:9勝1敗 | 何卓佳:1勝3敗 |
ディアス:7勝0敗 | ゾルヤ:6勝5敗 |
エピソード
幼稚園の頃から1日4時間、休みは7時間の練習を行った。幼いころは母がコーチで、独特のメニューを多くこなし、型にはまらないプレースタイルの土台となった。公民館の初心者を独自でボールが予測できないという理由で、練習相手に選ぶこともあった。
年表
2歳からすでにラケットを握っていた。また、幼稚園の頃から夜中の2時まで練習していたという逸話を持つ。
2005年の4歳の時に、全日本卓球選手権バンビの部に出場
2008年にはカブの部(小4以下)で優勝をはたす。
2011年に全日本卓球選手権の福原愛が持つ、史上最年少・優勝記録を更新した。
2013年の世界ジュニアでは、ムードメーカーとしてもチームをけん引して、銀メダル獲得に貢献した。
2014年には平野美宇とのダブルスで、ドイツオープン、スペインオープン、ワールドツアーファイナルで優勝した。
2015年のドイツオープンでは、14歳152日でシングルス優勝という快挙をはたし、郭躍の持つ最年少優勝記録を大幅に更新した。
2015年には世界卓球・蘇州大会でベスト8に進む活躍をみせた。また、リオ五輪の団体戦の代表に決定。高校1年生で、リオ五輪に挑むことになった。
2016年のリオ五輪では、3位決定戦のシンガポールなどで活躍、日本の団体・銅メダル獲得に貢献した。一方で、銀メダルがかかった準決勝のドイツ戦では、1番手で出場。最終セット、P・ソルヤ(15位)に対して、9-3とリード。勝利目前だったが、気のないミスショットから反撃を許し、逆転負けを喫した。結局、日本は2-3でドイツに敗戦している。
リオ五輪後、一時休止していた平野美宇とのダブルス、「みうみま」コンビを再開している。
対外的な強さでは日本の中でも高く、世界1位の丁寧(中国)、ユ・モンユ(シンガポール)や梁夏銀(韓国)といった海外の強豪をすでに破っている。
将来の夢は五輪で優勝すること。
目標の選手は中国の丁寧である。
大舞台でもプレッシャーを感じずに、むしろやりがいを感じるタイプである。
コメント